Stable Diffusion vs Midjourney

オープンソースのアーミーナイフ vs クローズドソースの魔法の杖

技術原理:目に見えない「ノイズ除去」プロセス

拡散ノイズ除去の可視化

サンプラー: Euler a | Steps: 0/25
純粋なガウスノイズ
プロンプト:

"A cyberpunk blue mechanical cat"

ノイズ (混沌) 画像 (秩序)

仕組み: AIは完全な絵を見ているのではなく、ランダムなノイズピクセルを見ています。プロンプトに基づき、「ここのノイズを少し減らせば猫に見えるか?」を計算します。数十ステップを経て、画像が混沌から「出現」します。

Stable Diffusion (潜在空間)

SDは消費者向けGPU(RTX 4060など)で動作させるため、ピクセルを直接処理せず、圧縮された潜在空間 (Latent Space)でノイズ除去を行います。サムネイルを修正して最後に拡大するようなもので、非常に効率的です。2025年のSDXLFluxはこれをさらに最適化しました。

Midjourney (サーバーサイド)

MJはクラウド上の巨大なGPUクラスターで動作します。同様の拡散アーキテクチャを使用しますが、究極の芸術性と一貫性(V7)を追求するため、大量のRLHF(人間フィードバックによる強化学習)を導入しています。つまり、その「ノイズ除去」の方向性は人間の美的嗜好によって強く導かれています。

主な違いの比較 (2025)

オープンソース
SD: 完全オープンソース (無料)
MJ: クローズドソース (ブラックボックス)
アクセス
SD: ローカル (WebUI/ComfyUI), クラウド, API。完全制御。
MJ: Discord Bot, 公式Web。オンラインのみ。
2025年モデル
SD: SDXL Turbo, Flux.1, Pony Diffusion。
MJ: Midjourney V7 (一貫性向上)。
画質とスタイル
SD: 上限は高いが下限も低い。モデル/LoRAの選択が必要。
MJ: デフォルトで映画級。芸術的、ドラマチック。
制御力
SD: 極めて高い (業界標準)。ControlNet, Inpainting。
MJ: 中程度。--cref, --sref, 部分修正。
プライバシー
SD: 100%オフライン可。企業利用に安全。
MJ: オンライン必須。デフォルトで公開 (Pro版は非公開可)。
コスト
SD: ソフト無料。ハードウェア(GPU)が必要。
MJ: サブスク制 ($10-$30/月)。
エコシステム
SD: Civitai (数万のLoRA)。
MJ: Discordコミュニティ, Web探索。

あなたに適しているのは?

Stable Diffusion

  • 無料&オープンソース、生成数無制限 (ローカル)
  • 究極の制御力 (ControlNet)、業務フローに最適
  • プライバシー安全、オフライン対応、検閲なし (NSFW)
  • 豊富なエコシステム (Flux, SDXL, Ponyなど)
  • 学習曲線が急、ハイスペックPCが必要
  • 環境構築が複雑 (Python, Git, エラー対応)
  • 良い画像を出すにはプロンプトと設定の調整が必要

Midjourney

  • 箱から出してすぐ使える、V7のデフォルト審美眼が最高
  • Web/モバイルUIが使いやすい
  • 生成が高速、ハードウェア不要
  • ブレインストーミングやインスピレーションに最適
  • 月額サブスクリプション、支払いを止めると商用利用不可
  • 厳しいコンテンツ検閲 (成人向け/暴力不可)
  • 構図の精密な制御ができない (手の位置指定など)

🏆 最終結論:組み合わせが最強

アーティスト/デザイナー

Midjourneyを推奨。 ムードボード作成、インスピレーション探し、高品質な商用イラスト素材の生成に。視覚的インパクトを重視。

開発者/ギーク

Stable Diffusionを推奨。 ゲームやアプリへのAI組み込み、特定キャラの学習(LoRA)で100%の一貫性が必要な場合。完全な制御を重視。

プロのワークフロー

両方を併用。 Midjourney V7で素晴らしいベース画像を高速生成 → Stable DiffusionにインポートしてInpaintingで詳細修正や拡大。これが最も効率的な商用フローです。